キミの手 キミの体温

「わたしの用事は終わったから帰るわね」


お大事に~。



なんて言いながら、水希はお気楽にひらひらと手を振って去っていく。



入り口で擦れ違う白奈の背中を押し入れて、わざわざ扉まで閉めて……。



扉の閉まるガチャって音と共に部屋の中に入った白奈は、



「……ママと話したよ。ちゃんと気持ちも伝えたしママのも聞いたの」



少し離れた所からとつとつとした口調で話し始めた。



俺はただそれを黙って受け止める。



舟瀬が白奈に気付かせたかったモノがちゃんと伝わってるのか確かめる為に。


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