天使はワガママに決まってる
――やっと瀬那を見つけた。
もうすっかり日は沈んで
辺りは街灯だけが僕を照らしている。
あれからすぐに家に飛んで帰ったが、
何故か瀬那はいなかった。
普段なら一緒に帰って、常に家で過ごしているし
僕自身、学校以外あまり外に出たことがない。
だから、瀬那の行きそうなところの
見当が全くつかず
一瞬途方に暮れかけた。
『どこなの瀬那……!』
あてもなく、とにかく人の少なそうな場所をあたる。
きっと彼女は人混みは嫌いだと思ったから。
しかしどこを探しても、誰に尋ねても
見つからない。
僕が迷子になりそうになりながら、
必死でこの足で町を駆け回っていたときだった。
「せ……な…?」
家からは馬鹿みたいに遠い町。
そこからさらに外れにある、小さな橋の下に
僕と同じ髪色をした女の子を見つけた。
間違えるわけがない。
あれは……瀬那だ。
「せな…!」
近づけば近づくほど、はっきりと見えてくる人影。
どうやらコンクリートの壁にもたれて
ぐったりとしているようだ。
それが彼女だということが確かに見えたとき、
僕は思わず声の限り、
何度も彼女の名前を叫んでいた。
「せな…っ…せな…!」
「せなあぁぁっ!!」
――ごめんね。
僕は瀬那の望むロボットにも家族にも
なれなかったかもしれない。
でも、瀬那を悲しませるようなことは
絶対したくない。