lotlotlot2-ふたつの道-
椅子は見事に払われた。それもリーグを投げつけてだ。
「痛ってぇ。」
椅子に、床に、壁に、全身をそこら中にぶつけ、リーグは痛がった。
でも、これでリーグを助けられたと思えば、これくらいの痛みは我慢してもらおう。
「リーグ、大丈夫?」
「大丈夫なもんかよ。でも、おかげで助かったぜ。」
あとはメルツを助けるだけだ。

「メルツッ。」
名前を叫んでみる。けれど、何の反応もない。たぶん、気を失っているんだろう。
「・・・。」
「イバーエ、言術は使わないのか?」
何も言わない僕に、リーグが声をかけてきた。
「あいつには・・・言術効かないってじいちゃんが言ってた。それにあいつの天敵を、言術で呼ぼうとしたんだけど、何も来なかった。ここら辺には・・・きっといないんだよ。」
声が震えた。
しかし、それを笑い飛ばすかのように、リーグは言った。
「それで、さっきから様子がおかしいのか。なかなか助けてくれないし、変だと思ったぜ。」
「だって・・・どうすれば・・・?」
「そんなの簡単だろ。」
「その天敵ってやつを、お前が創ればいいんだよ。言術はなんでも出来るんだから。」
「!」
気がつかなかった。
僕はリーグに言われたように、言術を唱えた。
「lot。」
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