lotlotlot2-ふたつの道-
無意識に、両手を前に差し出していた。すると、手のひらが少しずつ膨らんできた。自分の手のひらなのに、まるで別人のもののような違和感を覚える。
<ひぃいい。>
言術の結果だとわかっていても、この光景は決して気持ちのいいものではない。心の中で叫びをあげていた。
それから、軽い痛みを感じた。なぜなら、手のひらを破って、フインズフーが飛び出してきたからだ。
僕の指先がもぞもぞする。指先で羽を軽く震わせ、獲物を探した。この狭い空間で獲物を探すのに、それほど時間を要する事はなかった。
僕の血を纏ったフインズフーが、グレンスマインスに向かって飛んだ。
次から次に、手のひらからフインズフーが出てくる。その度に、手のひらからは血が滲んでくる。出てくる数がハンパじゃないから、出てくる血の量もハンパじゃない。少し頭がクラクラしはじめた。
<もう、止まってくれよ。>
僕の想いに反して、力は止まる事はなかった。また無駄に、大きな力を放出してしまったのだ。しかし、それよりも無駄に血を放出している事の方が、今は大問題だった。
「リ、リーグ。メルツを、メルツを頼むね。」
それだけ言うと、僕はその場に倒れてしまった。
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