lotlotlot2-ふたつの道-
やられ役
るるんぱは、大胆さと冷静さを持ち合わせていた。

「まずはここから出ないとな。」
元々男は、山奥にある洞窟を利用して作られた牢に閉じこめられていた。その作りは下手な刑務所などよりも遙かに強固だ。
「なるほど。これなら、普通の人間には出ることは出来ないな。」
るるんぱは笑った。
「ただ、私は人ではないからな。大魔道士るるんぱ様とでも呼んでもらおうか。」
自分の満ち溢れる力に酔いしれている。
軽く息を吸った。
「ハリス。」
呪文を唱えると同時に、息を吹いた。するとどうだろう。軽く吹いたはずの息が、まるで大砲の弾のように、回転しながら大きくなっていった。
そして、強固な牢を木っ端微塵にした。
土煙が舞う。
「ほら、簡単だ。強い、強いぞ。」
るるんぱが魔法を使うのは、実に数百年ぶりだ。思う存分力を振るえることがうれしくてならない。
「ふふ、ふふふふ・・・。」
笑いが止まらない。
笑いながら、外へと歩きはじめた。

洞窟の外には見張りがいた。小さな村とはいえ、罪人を閉じこめているのだから、見張りがいるのは当然の事だ。
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