lotlotlot2-ふたつの道-
「さてと、ここに村長はいるか?」
さっきのけけが起こした揺れを、地震だと思っていた村長たちはテーブルや机の下に隠れている。そのせいでどこに誰がいるのか、すぐに知る事は出来ない。
「・・・。」
村長は考えを巡らせた。どうすれば助かるのか、目的はそれだ。
その時、机の下に隠れているイーツの姿が目についた。イーツは、今回の騒動にはいっさい関わっていない。つまり、恨みを買うような事はない。目で合図を送った。
<イーツ、お前が説得しろ。>
厄介事を押しつけられそうになり、イーツは首を大きく横に振った。
<いいから、いくんだ。これは命令だ。>
顔を真っ赤にしている村長を見て、イーツは覚悟を決めた。もし、この場を何もせずしのいだとしても、その後に村長に何をされるかわかったものではない。なら、まだリーグの父親の方が話が通じそうだ。そう思っての事だ。
「あ、あのヨコヤさん・・・?」
机の下から這い出て、るるんぱに言った。
「ヨコヤ・・・?あぁ、この男の名か・・・。まぁ、今風の名前だな・・・。で、お前が村長か?」
イーツは意味がわからなかった。
「ヨコヤさん、何言っているんですか?僕が村長のわけないじゃないですか?」
「違うのか?なら、なぜ出てきた?呼んだのは村長だ。他のやつに・・・用はない。」
外見こそリーグの父であるヨコヤだが、中身は魔法使いるるんぱだ。中身が違うと、瞳の表情が変わってくる。その目はヨコヤではない。それにイーツは気がついた。
「お、お前、誰だ?ヨコヤさんじゃないな。誰なんだ?」
「るるんぱ様に向かって、その口の利き方はなんだい?」
わわは、イーツの腹を思い切り蹴飛ばした。
「ぐへっ。」
床に這い蹲るイーツ。すると、ちょうどテーブルの下に隠れている村長と目があった。
<逃げて・・・。>
目で訴えるが、村長はそれに気がつかない。むしろ、るるんぱに村長の居場所を教える事になってしまった。
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