lotlotlot2-ふたつの道-
僕は悟った。こいつはやばいと。前に対峙した魔法使いなどとは、比べものにならない。
<ど、どうする?>
見かけは、どう見てもリーグのお父さんだ。完全に心を切り替えられない。こんなに心は怯えているのに、何たる矛盾だろう。
「な、何言ってるんですか?僕が全然、言術使えないの、おじさんも良く知っているじゃないですか。」
無駄なのはわかっていた。けど、もしかしてと言う淡い期待で言ってみた。
「そんな嘘が・・・通じるとでも?」
やはり無駄だった。覚悟を決めるしかない。
喉が痛いほど乾く。敵の数は三人だ。一人ずつ相手をするわけにはいかない。まとめて、一気にねじ伏せないとダメだ。僕は策を練った。
ただ、リーグのお父さんを傷つけず倒すなんて出来るのだろうか?勘だけど、何かに操られているとか、そんな気がする。だとすると、かなりやっかいだ。
頭の中に大きな雲が出来た。どうすればいいのか、答えが浮かんでこない。この雲が晴れなければ、僕は言術を唱えられない。
遅かった。
言術が使えなければ、僕は単なるガキだ。
そのガキを殺すためには、ガキで十分だと思ったのだろう。黒い奴が言った。
「ダンス。」
一瞬だった。雷が、僕に刺さった。手足が振るえる。小躍りと言ったところか。
そのまま、僕は倒れた。
「イバーエ・・・。」
リーグの声が聞こえた気がした。
「あっけないね。」
るるんぱはイバーエを、かなりの言術使いだと踏んでいた。溢れる力が、そう感じさせたのだ。しかし、結果はこうだ。拍子抜けするのも無理はない。
「他に・・・殺さなきゃいけないのは・・・?」
そう言いながら記憶を探る。床に倒れているイバーエ、村長、イーツ以外にこの部屋にはいなそうだ。そして、さっき逃げた女も関係なさそうだ。
「もう・・・良さそうだな・・・。行くよ、わわ、けけ。」
「ふざけんなっ。」
叫んだのはリーグだ。
「何が?」
るるんぱが聞く。
「お前、イバーエを殺したな。殺したな・・・ゆ、許さない。」
手には壁に飾ってあった剣があった。その剣先は小刻みに振るえている。
「それでどうするの?」
「お前を・・・殺す。」
目つきは言葉が嘘でないと言っている。
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