lotlotlot2-ふたつの道-
ちょうど雪だるまを作るときと同じ感じだ。たった五ミリの火の玉が、徐々に大きくなっていく。大きさが大きくなればなるほど、その大きさは加速度的になっていく。
そして、大きくなったが故、アイワイは気がついた。
「何?」
突然、目の前に現れた火の玉にたじろいだ。
「bic。」
無意識だった。言術を唱えていた。
大地に生えている草が一気に伸びた。緑色の壁を作る。そして、火の玉を包み込んだ。火の玉は草を燃やそうとする。しかし、大地が恵んでくれる水分が、火の玉のそれを拒む。
さらに燃えてしまった草の代わりに、新たな草が伸び覆う。
火の玉は勢いを失っていった。
「これで、大丈夫ね・・・。」
まだ煙は出ているものの、さっきのように燃え盛るような事はなさそうだ。額の汗を拭き、一息つこうとした。
しかし、そうはさせてもらえなかった。
それぞれは小さな塊だった。それらが急にアイワイの目の前に集い、大きな火の玉を形成した。突然の事に、どうする事も出来ない。
ただ、瞳に炎を湛えていた。

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