紅芳記
「それに…。
女子の第一の勤めは、世継ぎを設けること。
世継ぎのため、夫が側室を持つこともございましょう。」
側室…。
私には、全く想像もできません。
ただ、私のまことの母上も、西郷局さまも、側室という身分なのです。
「夫を愛し、夫に愛されたとき、ほかの女子が側室として子を産むことは女にとって辛いこと。
しかし堪えねばなりませぬ。
これも、女子の運命(サダメ)なのです。」
「はい。」
覚悟を決めねば。
真田という家を背負い、支える覚悟を。
そして、西郷局さまのお話を終生、忘れぬようにしなければなりませぬ。