紅芳記
城へ着くと、すぐに用意された部屋に通されました。
今日から、私はこの部屋で暮らすのです。
「仲橋にございます。
本日より、姫さま…いえ、奥方さまのお世話を仰せつかりましてございます。」
そう言うと、仲橋は再び平伏しました。
今日からはふじだけでなく、仲橋とも深い関わりを持つことになります。
それにしても、奥方さま、と言う新たな呼び名に多少抵抗を感じずにはいられません。
今までは、お稲、姫、姫さまと呼ばれておりましたから。