零の狼-新撰組零番隊-
私は一七夜月さんの顔を見る。

その視線の意味する所を理解したかのように。

「躑躅森組長だ」

彼は言った。

「祝、あんたと一緒に行動してくれとの事だ…六郎面三郎(ろくろうめんさぶろう)って奴は知ってるかい?」

その問いかけに無言で頷く。

同じ新撰組零番隊の隊士で、隊内では古参者。

気性の荒さと過剰な武力行使で、零番隊では問題児扱いされている。

「その六郎面って奴の任務を引き継いで欲しいって事だ。何やら六郎面には、別命が与えられたってんでな」

「……」

任務途中で他の隊士がその任務を引き継ぐとは珍しい。

恐らくは六郎面さんのような古参の隊士にしか務まらない、火急の用件でも入ったのだろう。

< 39 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop