【短編】キミと、あたし。
「―――――わかった。いつ言うつもり?」
「ホント!?ありがとう!!」
ざわつく廊下に、アミの明るい声が響いた。
この日は学祭1日目。
夜に行われるキャンプファイヤーの時に抜け出そうと言われた。
「約束だよッ」
笑顔を見せながら彼女は走って行ってしまった。
姿が見えなくなってから
大きなため息を吐く。
途端、
「あーあ。言われるがままだな」
そちらも負けずと大きなため息交じりで そう聞こえてきた。
「春基。聞いてたの」
「ん。まーね」
すんなり肯定されて、怒る気も失せる。
「…本当に付いて行く気?」
教室の入り口から姿を現した春基。
真剣な眼差しに、ただ頷くばかりのあたし。
声を出したらきっと、汚い感情だけが口から出て行きそうで
怖かった。