君に溺死

『…電話、しちゃいました!』



めーちゃんの明るい声に、僕の眉間に皺が寄る。傍から見れば、何て事ないその声。…だけどね。僕には分かるんだよ、大好きだから。



「僕が来るまで泣かないで待ってて。」



逸る鼓動も。震えていた指先も。もう、止まった。今すぐに行くから。それまで、待ってて。独りで泣かせたくなんか、ない。



「…今、何処に居るの?」

『ッ、ハルカさんの、マンション…、』

「うん、すぐに行くよ。」



ごめんね、来てくれてたんだね。すぐ帰るから、待ってて。今から、めーちゃんのヒーローになりに行くよ。

僕は千鶴の静止する声を振り切って単車のキーを回した。真っ赤な僕の相棒「リンダ君」。めーちゃんの所までぶっ飛ばして行くから。今日も僕と一体になって、風をきろうか。
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