約束
 ノブを捻り、扉を開ける。そこには閑散とした部屋がある。


無造作に置かれていた絵や花瓶などが撤去され、そして明らかにおろしたばかりだと分かるカーペットが敷かれていた。

そして部屋の中央には見たこともないこげ茶のサイドテーブルが置かれていた。窓は開けられ、弱い風が水色のカーテンを揺らしていた。

「中に入っていいよ」

 木原くんはお礼を言うと、部屋の中に入る。


 扉をしめると、先ほどまで話をしていたのが嘘のようにどちらかともなく黙っていた。木原君は部屋の中心にぽつんと立ち、私は彼から少し離れた扉のところに立っていた。

 意識して黙っていたわけでもない。何かを言おうとするが、上手く言葉が出てこなかったのだ。

 その沈黙を破ったのは木原くんだった。彼はドアにへばりついている私を見ると、目を細める。
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