約束
「なんでもないよ。こういうのが好きなの?」

「好きといえば好きかな。私はおねえちゃんがいるし、ぬいぐるみとか買ってもらったことがなかったの。お姉ちゃんのぬいぐるみを使いなさいってさ。姉妹の宿命っていうか、仕方ないことなんだけどね」

 姉は自分のものだと主張をし、私に貸してくれる事はなかったがそれは仕方ないんだろう。それを見かねたおばあちゃんがわざわざ買ってくれたのだ。

それもそれで嬉しかったが、昔はあれこれ買ってもらっている姉が羨ましかった。姉はそういう意味で世渡りがうまいんだと思う。

「でも、誰にあげるのか分からないけど、こういうのもうれしいかも」

 そのとき、私は五歳か、六歳くらいの女の子にあげるイメージでそう言っていたような気がする。

「ほしいなら買ってあげるよ」

「いいよ。こんなに大きいのものは部屋におけないし」

 それにさっきは言わなかったのはお金の問題もあった。ちらっと見た限りでは、高校生が簡単に出せる金額でないことは分かっていた。

「でも、このお店可愛いから、中に入ってプレゼントを探してみようか」

 笑顔でそう彼に伝える。

 ここなら好みの品があるかもしれないと思ったのだ。

 お店はオレンジ色のライトが照らされた場所で、辺りの商品もその色に浮かび上がっていた。

木製の外国のお店を思わせる程度に棚が加工してあり、その脇には籠が並べてある。そこにはさっきのクマほどはつくりが豪華でないが、可愛いぬいぐるみがあった。
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