約束
 私達はお店を出ることにした。

 冷たい風が追い立てるように私達の背中を押す。その目の前を手をつないでいるカップルがいた。すごく幸せそうに見えた。あたりを照らすイルミネーションが余計に二人を幸せそうに映し出していた。

「そのうち、由佳達もデートができると思うよ」

 晴実はそういうと、明るく笑う。私と木原君がこうしたデートができるようになるのは、彼が母親のことを気にする必要がなくなったときだろう。だから、彼とデートをしたいと思うことはそれだけでいけないことのような気がしていた。

「大学は一緒なんだしさ」

 私は彼女の言葉に頷いた。私が暗い顔をしていたので、元気付けるために言ってくれたんだろう。

「そうだね」
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