約束
 そう明るい笑顔を浮かべていた。

晴実にもお姉ちゃんにも同じことを言うということはそうなんだろう。

それに彼女なんかいたりしたら、女の子の家に住むなんて絶対に許しが降りないだろうと思う。

私が木原君の彼女なら全力で反対する。自分の家ならともかく、何かがあってからでは遅い。

 そのとき、聞きなれない音楽が響いているのに気づいた。音源は彼女の鞄だった。

 晴実も同じタイミングで気付いたのか、鞄のところに行くと携帯を取り出していた。だが、メールを開いたらしい、彼女の顔が赤く染まるのに気づいた。動きも止まっている。

「晴実?」

「あ、あのなんでもないの」

 そんな親友の見慣れない反応から、大よそどんな人からメールが届いたのか気づいてしまっていた。

好きか断言することはできないが、それなりに大切に思っている相手から届いたのだろう。

「誰からのメール?」
「いえ、あの」

 いつも彼女は動揺を表にだすことをしない。今日の彼女は私の知っている晴実とは別人のように見える。

 そんな姿を見てしまうと、気にならないわけがない。私が彼女を問い詰めるための決意を固めたときだった。
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