Dice
心配した、愛子かあずさからの電話だろうとポケットから出す。
それは昼にかかった知らない番号だった。
私の中でコロコロとサイコロが転がった。
目が出た。
「はい。もしもし。」
「あの、俺、今日昼に電話した奴なんだけど」
「はい。」
「あのさ、君、誰?」
「は?」
頭の中が混乱し、心臓がうねりだした。
「俺の名前はカツジ。君は誰?」
「私は・・・・・」
恐怖と不安と、そして確実に湧き上がる興味が私の中を流れる。
「サチコって言います。」
「サチコちゃん。」
とっさに嘘の名前を言った、この行動は間違いではないだろう。
「また明日の昼にかけるから。」
「はい。わかった。」
・・・・・・・・・・・・・・・
携帯は切れた。
私の手は震え、左手は家庭科の課題がクシャクシャになるくらい握り締めていた。
自分のとった信じがたい行動に驚きが隠せなかった。
課題は途中まで終わらせてクシャクシャの状態で提出した。
課題よりも私は電話の声が頭から離れなかった。
マタアシタノヒルニカケルカラ。