彩葉唄
霧夜はただ、目を見開いていた。
たった一人の幼なじみが盗賊団の副首領に‥捕まえなければならない者になっていたのだ。
驚かない方がおかしい。
そんな霧夜を英総は怪訝そうな表情で見ていた。
「霧夜先輩何してるんですか、捕まえますよ!」
「あ、あぁ‥」
少し戸惑ったものの、霧夜はそう答えた。桜の下に立っている人物‥彩葉童子を映している瞳には、まだ迷いの色がある。
「霧、何を迷ってるの?」
彩葉が霧夜を昔の呼び名で呼ぶ。