ひなたぼっこ~先生の、隣~
ポケットから携帯を取り出したが、またすぐにポケットに閉まった。
出なくていいのかな?
「で、送ってくれるの?」
香奈は、そんなことを気にしていない。
「…お前らだけ、特別扱いするわけにはいかねぇよ。ほら、早く帰ってゆっくり休め」
しっしっと手を振り、早く帰れと促す。
「えー!?泰葉に、詫びるんじゃないの」
「お前声でかい。…ちょっと用事ができたんだよ」
「用事って?」
「どうしてお前に言わなきゃいけないんだよ。ほら、帰れ」
まだ文句を言い足そうな香奈だったが、しぶしぶ自分のキャリーバックを持ち歩き出した。
そのあとを追うように、泰葉もキャリーバックを持って歩き出すが、一歩踏み出したところで足が止まった。