私と彼の関係
 リビングで夕方まで過ごし、宮野君の部屋に入ることはなかった。


 宮野君のお母さんに見送られ、家を出ると、空はいつの間にか夕焼に包まれている。私達は家への岐路を急ぐ。


「遅くまで引き止めて悪かったな」


「気にしないで」


 宮野君のお母さんと話ができて、緊張はしたけど楽しかった。

一人で過ごすより、充実した休みだった。

何より、宮野君のことをほんの少しだけ知れたような気がするから。


 少し前に歩く宮野君の背中を見た。


 今は偽りの関係で、私と彼の間は差がある。


 でも、いつかこの距離が近くなればいいのに、と思う。


 家の近くまで来て、宮野君を見る。


「ここでいいよ。もうすぐだし」
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