私と彼の関係
「じゃ、また明日」


 彼の言葉にうなずく。私は歩いて、肩越しに宮野君を確認した。


 彼は軽い足取りで帰っていく。


 私は足をとめ、その姿を見送っていた。


 彼との距離が二十メートルほど離れ、家に帰ろうとしたとき今まで聴いたことない声が夕焼の残る街並みに響いていた。


「渉」


 クセがあるけど、可愛い声。


 彼のもとにかけよってきたのは髪の毛の長い女の子だ。


「どうかしたの? 今帰り?」


 はしゃぐ彼女に声をかける。背中しか見えない。

 彼女の声は大きいけど、宮野君が彼女に何を言っているかは分からなかった。



 宮野君は私には浮かべないような笑顔で、その子に対して話しかけていた。

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