私と彼の関係
 それでも年賀状のやりとりやら、電話なんかはこまめにしていたようで、それなりに親しいといえば親しいのかもしれない。


 そのとき、扉が開く。


 そこに立っていたのは背の高い体つきのしっかりとした男性と、上品な印象の細身の女性。


 彼の両親だということがすぐに分かった。


 お父さんはかっこよくて、お母さんは綺麗な感じの人だが、どちらかといえばお父さん似なのかもしれない。


 両親を呼びにいった彼の姿はそこにはない。もう部屋にでも戻ったのかもしれない。


 残念に感じながらも、これ以上彼と一緒の空間におらずに済んだことにほっとしていた。


「わざわざ悪かったね」


 彼のお父さんの宮野衛さんはそう言うと、笑顔を浮べていた。
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