私と彼の関係
 優しいのは知っている。ほんの少し彼をしれてもそれは断片でしかない。


彼が学校でどんな風にしているのとか、分からないままだった。


 できあがりを告げる、空だきを知らせるような音が聞こえてきた。


 コーヒーを白いカップに注ぐと、彼のところに持って行き、テーブルの上に置く。


「どうぞ」


「ありがとう」


 彼はそれをすっと持ち上げると、くちにつけていた。


 彼をじっと見ていると、彼の視線が私を見る。


「髪の毛に何かついているよ」


「え? どこ?」


 手当たり次第に髪の毛を触るが、宮野君が眉をひそめるのをみていると、とれていないのだと分かる。
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