私と彼の関係
 彼は私を見て笑っていた。


 私がそんなことを言うわけないし、今日のことはそのうち忘れられるかな、と思った。



 光が差し込んできた。雨が上がったのだ。彼は雨がやんだのを確認したのか立ち上がると目を細めていた。


「帰るよ」


 彼があっさりとそういってきたことを残念に思いながらも頷いていた。



 玄関先まで彼を送る。


 玄関の外に出かけた彼の足が止まる。


「言い忘れていたけど、たまにはごはんを食べにきたらいいよ。母さんからの伝言」


「今度の日曜日に、ごちそうになっていいかな」


「分かった。伝えておく」


 彼との関係が近くなったかは分からないが、それでもそう思ってしまっていた。
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