ノラネーコだんしゃく
町のえいせい係が、だんしゃくを鉄のかごに入れた。

だんしゃくの毛はぐっしょりとぬれて、全部の毛が下を向いていた。

だんしゃくのしっぽは力なく、だらりと下にほうりだされていた。

だんしゃくは目をふせて、口をへの字に結んでいた。

みんな、だんしゃくを見てしずまりかえってしまった。

だんしゃくは、いつものだんしゃくじゃあなくなっていた。

こんなだんしゃくを見たくはなかった。みんな同じ気持ちだったはずだ。

「後ろから石を投げるなんて、ひきょうじゃねえか」

誰かがいった。その通りだ。もしだんしゃくが石をよけていたら、その石は男の子に当たっていたんだ。みんな、下を向いてぶつぶつ言った。

「さあ、連れていけ」と市長が言った。なんだかさみしそうな声だった。市長も同じ気持ちだったにちがいない。立場上、そう言わなきゃいけなかったのさ。
えいせい係が、かごを持ち上げた。

 そのとき―

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