ノラネーコだんしゃく
「おっとっと」

えいせい係が、ツナ缶をふんづけてしりもちをついた。そして、かごを下に落としたんだ。

なんだか、わざとのようにも見えた。かごはガシャン!と音をたてて落ち、そのはずみでかごのふたが外れた。

だんしゃくは、ゆっくりと外へ出てきた。そして、ブルブルン!と身ぶるいをした。すると、もとのぼっさぼさが戻ってきた。周りにいたみんなを、ぐるりと見回して、そして―

だんしゃくは、にやりと笑ったんだ。

だんしゃくが、いつものだんしゃくに戻ったんだ。

われに帰った市長が、叫んだ。

「だんしゃくを、つかまえろ!」

だけどその時はもうおそかった。

だんしゃくは、まずえいせい係にとびかかると、えいせい係のほっぺたをバリン!と引っかいた。それから市長の頭の上に飛び乗って、片がわになでつけていたかみの毛を、全部ぎゃくの向きにすると、動きだしたみんなの足の間をすり抜けて、広場の反対方向へ走っていった。

みんな、それを追いかけるでもなく見ていた。みんな、なんだかほっとしたような顔をしていた。

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