ノラネーコだんしゃく
市長は考えた。確かに駅はおんぼろだ。だが、そのために(そしておエライさんのごきげんをとるために)危険をおかして、あのノラネーコだんしゃくにいどもうなんて、だれが思うんだ?

市長はいい方法を思いついた。ニャンだと思う?

町中にはり紙をはったのさ。それにはこう書いてあった―

「急告:ノラネーコ・ハラヘッタ・ケボサボーサ5世を捕らえた者には、賞金として、ツナ缶1年分を与える」

ツナ缶1年分というのがみりょく的なのかどうかは置いておいて、これには町中の男たちが一斉にもえ上がった。そう、町中がノラネーコだんしゃくのほかくに乗り出したのさ。

町の真ん中にある広場に、男たちがぞくぞくと集まってきたんだ、デッキブラシだのこん棒だのパチンコだの虫取りアミだの、それぞれ得意の道具を持ってね。

女たちも負けずに集まった。こちらはどちらかというとずのう派で、マタタビとかアジの干物とか、だんしゃくの好みのタイプのネコなんかを持ってきた。これでゆうわくしようという作戦さ。

子どもたちも集まった。こちらはもう意味が不明。ラッパ、びっくり箱、指人形にシャボン玉。一体、それでどうやってだんしゃくを捕まえるつもりなんだい?

さわぎを聞きつけて、広場にはラムネ売りやお面屋がやって来て店を広げた。広場に面した家の、窓という窓が開いて、そこから見物人がこぼれそうなくらいに身を乗り出していた。そう、町中の人間がこの広場にやってきたんだ。まさにお祭りさわぎになったのさ。

市長は「指揮をとる」とか言って、広場の中の一段高いところに特別席をもうけて座っていた。そのとなりには、賞金のツナ缶1年分が、ドーンと山のように積まれていた。

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