i want,
……………
夜の学校はしんと静まりかえっていて、昼間ここに笑い声が満ちていることが信じられないくらいだった。
いつもより長く感じる廊下。一瞬背筋が寒くなり、あたしは足を速めた。
自分の足音だけが長い廊下に響く。それが少し気味悪くて、なるべく足音をたてない様に心掛ける。
三階の廊下に灯りが伸びているのが見えた。図工室と音楽室。男子が図工室に泊まり、女子が音楽室に泊まることになっていた。
男子はみんなグラウンドに出ているためにしんとしている図工室の隣を通りすぎ、音楽室の前まで足を進める。
女の子の笑い声がようやく聞こえ、あたしはほっと胸を撫で下ろしてドアに手をかけた。
その瞬間だった。
「でも花ちゃん達、よぉあおとあんな普通に話せるよね」
ぴくっと手が止まる。
それは歩夢の声だった。
続けてまた、まばらな笑い声。自分の名前が聞こえたからか、あたしはそのまま動けずにいた。