i want,
「ねぇ、垣枝」
「なんじゃい」
「行こうやぁ。別にええじゃ、一緒に行くくらい」
「そんなに行きたいんけ」
「や、あたしがってか…」
と、口をつぐむ。
ここでみどの名前を出すのはまずい。
「なんけ」
「や…と、とにかく!せっかくうちらの学校でやるじゃん?みんなでお化け屋敷とか作ったじゃん!せっかくなんじゃけ、一緒に行ってもええじゃん!」
我ながら筋の通らない理由。
でもみどと約束した手前、とにかく必死だった。
そんなあたしの必死な表情をいぶかしげに見た垣枝は、軽くため息をついて人参をつかむ。
「でも俺ら、スポッチャコーナー行くよ?」
「えぇよっ、全然!てかあたしも行きたいし!」
「そんな行きたいけ」
「行きたい!」
あたしの顔を覗き込んだ後、垣枝は箸で掴んだ人参をあたしの皿に入れた。
「あぁっ!何するん!」
「人参食ってくれたら一緒に行っちゃってもええよ」
「あたしも嫌いなんに!」
「ほしたら、行くのやめよっかな~」
「食べる食べる食べますっ!」
そんなあたしを見ながら、にやりとあの意地悪そうな笑顔。
「あおはおもろいのぅ」
人参を無理矢理口に含みながら軽く睨み付ける。
でもとにかく、約束を取り付けることが先決で。
…フェスタで絶対何か奢らせちゃる。
小馬鹿にした笑顔に向かって、心の中で呟いた。