i want,


……………




それは本当に、突然訪れた永別。




…バイトが終わって外に出ると、息が白くて寒さが増した。

街のあちこちがライトアップしている12月。
今や耳に慣れたジングルベルを聞き流しながら、自転車の鍵をあけた。

大学に入って二回目の冬。
今年は成人式もあるので、このバイトが終わったら地元に帰るつもりだった。

地元に帰るのは去年の冬ぶり。一週間前にさとから集まろうというメールを受け取ったばかりで、やっぱりどこか浮き足だっていた。

帰って荷造りしなきゃ。
冷たい空気を全身に感じ、ペダルを踏み込んだ瞬間。

ポッケのバイブが、揺れた。

前のめりになった体を思わず起こし、コートのポッケから携帯を取り出す。

ディスプレイには、久しぶりの卓也の名前。

丁度地元のことを考えていたからか、何だか嬉しくなって急いで通話ボタンを押した。

「もしもし、卓也?」
「あお?」
「どしたん?久しぶりじゃー!今バイト終わってね、明日の新幹線で地元戻るつもりなんじゃけど」
「…あお、」
「成人式前にさ、集まるよね?…卓也?」

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