i want,
…真依はそれ以上、深くは聞いてこなかった。
あたしからもその話題を出すことはなかった。
通路を挟んだ斜め前に、垣枝が座っているのがわかる。
隣はさとだろうか。笑っている横顔が見えた。
…あたしが求めているものは、何なのだろう。
あたしは何が、欲しいのだろう。
バスがトンネルを抜けた。
自然の光が車内に一気に満ちる。
あたしは眩しくて、一瞬目を細めた。
知らない土地と、非日常的な時間。
この間に、何かわかるのだろうか。
何か、変わるのだろうか。