i want,
……………
思ってたより、広島には早く着いた。
でもその距離からは想像できない程に、あたし達の地元と広島には差があった。
「すっげーっ!なんじゃここ!」
「ビル、ビル!!ありゃあ何階建てじゃ!?」
「見ろいや、電車が道路走っちょるで!!」
ホテルに着いた途端、はしゃぎだす男子達。子どもだなぁ、そう思ってしまうあたしは、やっぱりどこか冷めてるのか。
「広島は東京じゃあ!外国じゃあ!!」
「ばっかじゃない、広島は広島じゃし」
高いテンションのさとを軽くあしらった。
明らかに不服そうなさと。
「なんけ、もっとテンション上げぇや!」
「だって広島なんて、親戚近くにおるけぇしょっちゅう来よるし。小倉とか博多のが都会じゃろ」
「お前は広島のよさがわかっちょらん!」
来て早々、お前に広島の何を語れるのか。なんて思いつつ、荷物を肩にかける。
「ほら、みんなもうホテル行っちょるじゃ。はよ荷物置きにいかんと」
「なんけ、クールぶってから。あおが1人寂しそうにしちょったけぇ話しかけちゃったのに」
「は?」
「なぁにハブられちょるんけぇや。間抜けじゃのぅ」