i want,
……………
ホテルに戻ったのは点呼の時間の一時間後で、案の定あたしと垣枝は部屋の前で先生にこっぴどく叱られた。
何事かと他の部屋からも覗く子ども達。スクリーンの外にいたはずが、いつの間にか周りが観客になっている。
「お前らなぁ、大事なもん無くしたんは仕方ないにしても、それは友達じゃのぉて先生にちゃんと言わにゃいかん」
…大事なもの?
意味のわからないという表情をしているあたしに、先生の後ろから真依が人差し指を立てて合図をした。
隣にいるのは田口。むすっとした表情をしながらも、軽く頷く。
…多分、二人がかばってくれたんだ。
「はい…すみませんでした」
あたし達二人は、素直に頭を下げる。
下げた所で垣枝と目があって、なんだかおかしくてちょっと笑った。