kiss
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あの日と同じようにまた教室には私たちだけになった。

でも気持ちはあの日とまるで違う。

柳くんが近くて、ドキドキが止められない。


「先輩、俺…」


頬を真っ赤にする柳くんを見て、やっぱりかわいいと思う。


「おめでとう、スタメン選ばれたんでしょ?」


クラスでバスケ部の男子が大声で喋っているから、つい聞き耳を立ててしまった。


「さすがに、三年には勝てなくて、三年が引退したあとになっちゃいました」


ちょっとだけ悔しそうにする柳くん。

まあ、三年としては意地でも譲りたくなかったんだろうな。


「約束です。俺と付き合ってください」


真っ直ぐに私を見つめる瞳はとてもきれい。


「私、年上だよ」


「たかがひとつです」


「私、口数少ない」


「俺がその分喋ります」


ふいに柳くんが立ち上がって、イスに座ったままの私は見下ろされる。


「俺が聞きたいのは、俺が好きかどうかってことだけ」



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