【完】最期の嘘
「ハイジには、分からない。ハイジは美恵、いる。」



「ああ、分からないねえ。ましてや恋愛にのめり込んで、仕事に持ち込むだなんて論外だな!」



精気を失った灰色の瞳には、ハイジの怒りは映っていない。



「まさか礼治がこんなヘタレだとは思わなかった。」



ハイジの吐き捨てた一言に、礼治はカッと瞳を見開きハイジを振り払う。



尻餅を突いたハイジは、目力のあるその瞳で礼治をギンと睨み、勢い良く立ち上がり、礼治を殴り倒した。



「いやっ!ハイジ、ダメだよ!」



まだ興奮覚めやらぬハイジを、美恵が強く抱き着き止める。



殴られた右目がジンジンと痛み、礼治はそこを何度も摩った。
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