ずっと大好き…この恋は秘密 …


家についた時、浅井のケータイが鳴った。


時間帯からすぐにみのりだとわかりケータイを開く。



from.佐倉みのり
sub.
――――――――――

何もなかったです。
心配させちゃってすみません。

でもうれしいです。


浅井さんの優しいトコロ好きです。

――――――――――





メールを開いたまま…

一瞬浅井の時間が止まった。




最後の

『好きです』に少し動揺して…




会うようになってから

まったくと言っていいほど
気持ちを表さないみのりを知っていたから。



でも、みのりの気持ちは浅井に伝わっていた。


笑顔や涙で浅井はみのりの強い想いを気づいていた。



それでも言葉にされるとうれしかった。


たいした文章じゃないし
友達同士でも送るような内容。



『好きです』


みのりの顔が頭に浮かぶ。




どんな想いで送ったのか…

緩んでいた顔が歪む。





「…喜んでる場合じゃねぇだろ」


ぽつりとこぼした後
浅井がキッチンへいきコーヒーを落とし始める。




静かに落ちるコーヒーの雫を見ながら

みのりの事を考えた。






ふいにケータイを開く。


開いたままのメール画面。


『優しいトコロ好きです』




最後の文章を見つめた後…


返信画面を開いた。









…伝わるかな。







少しだけ笑みをこぼしてメールを返信する。



たくさんの想いがみのりと浅井の間を飛んでいた。





静かな部屋に

浅井がケータイを閉じる音が響いた。






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