ずっと大好き…この恋は秘密 …


窓ガラス越しにみのりと浅井の目が合う。


息を切らしている浅井の肩が上下に動いていた。



みのりが無意識に車のドアを開けた。


…隣に圭司がいることすら忘れていた。







目に映るのは…


目の前の愛しい人の姿だけ…






ドアを開けたみのりの腕を浅井が力強く引き寄せた。


四駆の高さがある圭司の車から一気に降りたせいで
バランスを崩したみのりを浅井が抱きしめる。




抱きしめられた浅井の体が冷たかった。







…なんでここにいるの?





あたしを…


追いかけてきてくれたの?







なんで?


だって浅井さんが言ったんだよ。




『もうダメなんだ』って…


『誰とも付き合う気ないから』って…






それなのになんで…?






なんで今

あたしを抱きしめてるの?









聞きたいことがたくさんあった。



言葉の代わりに涙がこぼれる。










理由なんかどうでもいい。


浅井さんがあたしを見つけてくれた。



浅井さんが抱きしめてくれてる。





それだけで…いい。









浅井さんが


大好きなの…










みのりは浅井の背中に腕を回した。


冷たい浅井の体にみのりの体温が溶け合う。




後ろで

圭司の車が走り出す音がした。






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