ロ包 ロ孝
「締め括りとして栗原は俺と一緒に店外ヘ出て、侵入し損ねて逃走を謀る者、見張り役で最初から外に配置されている者の掃討を引き続き行う。
 ……以上が大体の段取りだ。それと、殺傷許可は勿論出ていないからそのつもりで。
 まぁ出ていたとしても殺す迄もないだろうがな」

 時計の針はもう3時を指そうとしている。いつまでも指を咥えている訳にも行かないので、現場の指揮に当たっている古内警部補と連絡を取り合った。

『ええ、そうですね。このまま賊が現れないようなら、一旦引き上げて仕切り直しましょうか』

 丁度その時。

  ビィィィィン ビィィィィン キキィッ キィッ

 それまでの静けさを破り、夜中に似つかわしく無い原チャリの集団がパチンコ屋に集結した。

『坂本さん、来ました。来ましたよ! 10台は居ます! 人数にして14、5人は居るんじゃないでしょうか……気を付けて下さい』

「解りました。そちらから侵入口が視認出来るようだったら教えて下さい」

 いきなりの大仕事だが、店内に所轄の捜査員は居ない。相撃ちになる怖れが有るので、打ち合わせの時点で俺達以外は店内に入れさせないよう頼んだのだ。

相手がかなりの人数だと聞いた今、俺はその判断が「正解だったな」と確信していた。

「ねえ淳。このペイント、凄く臭いんですけどぉ……」

 俺達のヘルメットは術の性格上、鼻から下の部分が塞がれていないので、黒いスーツとヘルメットに覆われた中、肌の色だけが白く際立ってしまう。それを隠す為に、黒のペイントでカムフラージュをしているのだ。

「今になってそんな事言っても仕方ないだろ!」

「後もうひとつ有るんだけど……アタシ達、銃持ってくるの忘れてるわよ?」

「! あ゙……」


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