ロ包 ロ孝
「では、三浦さんのエージェント着任を祝って乾杯と行きますか! かんぱーい!」

「有り難うございます。乾杯!」


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 その後聞いた話に依ると、今音力では彼の事例に倣い、素質が無いからと一旦退会したメンバーの見直しと、ボイストレーニング後の再修練が進んでいるらしい。

またこの際も、どう努力したって治らない音痴が居たり、生来の原因から口腔内部や頭蓋骨の形状が共鳴に適さない人達などが居て、全員が術を修得出来る訳では無い。

しかし今までより術修得の確率が飛躍的に伸び、以前の3倍近くに迄跳ね上がったのだという。

「しかし私達みたいな出戻りを、みんなは『新波(シンパ)』と言って区別してます。
 修練の間はちょっと居心地が悪かったんですけど、要はエージェントになったモン勝ちですからね!」

 そうか。確かにあそこ(音力)は競争社会の最たる物だった。俺は蠢声操躯法の予備知識と素質が有ったから競争を勝ち抜いた(本当を言えばカンニングである)が、努力した末に『不適格者』の烙印を押された三浦達は、口には出さずともやるせない気持ちだっただろう。

三浦は区別と言っていたが、出戻りである『新派』は多大なる差別を受けたに違いない。

「それに我々は更なるスキルアップの為に、心強い味方を得たんです」

 スキルアップ? 発声の専門家を招いたか、メンバーに入れたりしたのか?

「一応音力には承諾を得ていますが、忍術のスペシャリストから教えを乞うているのです」

 忍術のスペシャリスト? いや、まさかな。

「その方に蠢声操躯法の事は伏せてあります。我々は特殊な機動隊という事にしてコーチして貰っているんです。
 北田さんがその方の手配に協力して下さいました」


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