ロ包 ロ孝
「ねぇ淳。何でアタシ達でお布団敷くのよぉ、宿の人に頼めばいいじゃない」

 早速浴衣に着替え、俺達は布団を敷き始めた。

「宿側から秘密が漏れないようにだよ。1人でも関わる人間を減らしたいんだ。念には念を入れないと……」

「チョッ! ちょっと栗原ぁ、もっとアッチに敷きなさいってばっ!」

 自分で質問した癖に、ちっとも俺の話なんか聞いちゃいない。

「じゃ、もう寝るぞ。お休み!」

「お休みなさ〜い」

 アイマスクを掛け、耳栓をはめて強引に眠りに就く俺達。裏稼業も楽ではない。


───────


「ねぇねぇ坂本さん。今夜のご飯は何だったんすかね」

 俺に起こされて目を覚ました栗原は、開口一番に言う。旅館の豪華な夕食を食べ損ねて、些か不満そうだ。

「お前も食い意地が張ってるな、明日は普通に頼めばいいじゃないか」

 今夜は現場の偵察に行って、作戦の細部を詰める予定だ。北田との死闘(ミーティング)の時は無いと踏んでいた、最新兵器である夜間行動用グッズやその他のテストも兼ねている。

「これ、意外とバッテリーが重いんスよね。レンズも樹脂じゃないから軽くないし」

 暗視スコープと赤外線ランプを稼働させる為のバッテリーは確かにずっしりと手応えが有るが、連続使用が6時間と極めて長い点が頼もしい。

「なんかこういうの。どこかのアニメに出て来なかったっすか?」

「残念ながらこれで相手の攻撃力は計れないから、過信はしないようにナ」

 ヘルメットのシールドも夜間用に透明な物へと変更されている。

「あらやだ。これじゃ目の周りもペイントしなきゃイケナイって事ぉ?
 臭いはクサイし肌も荒れ放題だし、これを塗ると全くイイ事無いのよね!」


< 252 / 403 >

この作品をシェア

pagetop