ロ包 ロ孝
「凄ぇ……凄いっすよ里美さん」

「はいはい。里美さんはそこでゆっくりご覧になっていて結構ですよ」

 どうやら発声の前に唇を尖らせるようにして【南斗】を放てば、希望の術に近くなるようだ。弱法を作り出したのも彼女だし、里美は術を細かくコントロールするセンスに長けている。

「じゃあ次は栗原、やってみてくれ」

「【陣】は俺の得意ワザですからね。どのツルをぶった斬りますか?」

「まず上の方のあのツルからだな」

「楽勝っすヨ! シュッ!」

  ズババッ

 ツルは斜めに切り裂かれた。

「うう〜ん、威力は申し分ないが、もう少しまっすぐ切れないかなぁ。ケーブルが持ち上がった所は僅かしかない。
術が斜めだと発電機に阻まれてしまうんだ」

「なるほど、頑張ります。シュッ!」

  ズパッ

「あれぇぇ? 上手くいかないなぁ」

「切れ味はさすがなんだがな」

 すると俺達を押し退け里美が前に出た。

「里美さぁん」

「だらしない声を出さないのっ。こうして、少し首を縦に振りながら放つのよ、シュゥッ」

  スパッ

 つるは見事に真っすぐ切断された。

「すげ、でっかいおっぱいが縦にブルンと揺れました」

「どこ見てんのよ、この馬鹿!」

「わぁぁぁ、落ちるっ!」

 里美に突き飛ばされて危うく谷に転げ落ちそうになる栗原。

「やだなぁ、冗談ですよ里美さぁん。よく解ったっす。っていうか、あれの何処が苦手なんすか!」

「残念ながらあたしのは威力が弱いのよ。多分ケーブルみたいな固い物には通用しないわね。
 ほら、やってみなさい。シュゥッ」

  ズパッ

「解ったっす。シュゥッ」

  ズバッ!

「そうそう、その調子」


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