ロ包 ロ孝
 勿論素人ばかりでは無理が有るので、舞台装飾の佐藤氏以下、5人のプロフェッショナルが俺達を助けてくれている。

「ハイハイ坂本さん。口はいいから手を動かして下さいますか?」

「ハイッ。す、スミマセン」

 こんないい歳をして叱られてしまった。俺のそんな情けない様子を見て、渡辺達は笑いを噛み殺している。

「達っつぁんめ……」

 また怒られてしまわないように小さい声で悪態をつく。あいつらだってまともに働いてないと思うが。

「佐藤さん、こんな感じでどうですか?」

 しっかりやっているのは遠藤だけだ。

「はい、遠藤さん。それで結構です。ああっ関さん関さん! それ全部反対ですよっ?」

 今回の渡航メンバーには新派の2チームと渡辺ら4人のグループリーダーばかりのチームを召集し、少数精鋭を心掛けた。

大阪支部の4名を除くと、エージェントの殆どが城北ブロックからの選出だ。

「あーらら。関さんも怒られてるよ。……しかし栗原には痛手だろうな。
 ただでさえ事件が多い城北ブロックなのに、3人もリーダーを連れて来ちゃったんだから」

「大丈夫ですよ、坂本さん。栗原さんは折衝上手だから、そこら辺は上手にやって頂けますよ」

 首尾良く仕事をこなしながら、遠藤が微笑んでいる。やはり頭のいい人間は飲み込みも早い。ああいうのは親御さんの血なんだろうか……。

「有り難う。遠藤君にそう言って貰うと心強いよ」

 全くの凡人で、性格の明るさと、無駄に身体が丈夫な所だけが取り柄の両親を、俺は少し恨めしく思っていた。

「あーあ。遠藤はいいよなっ! そうやっていつも坂本さんから信頼されててさ……ぉわっ!」

 いきなり背景が倒れ込んで来たのを慌てて支える渡辺。

「大丈夫か? フゥゥゥウウ」

「おっとっと! 有り難うございます」

 【玄武】(ゲンブ)を施されて渡辺は、難なく背景を立て直した。


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