ロ包 ロ孝
 俺は里美他女性陣に当てがわれた部屋の浴室内で関の報告を聞いていた。

ここの内壁は舞台装置に紛れて持ってきた遮音材で完全に覆われていて、外部に音や映像等の情報が漏れる恐れは一切ない。

例え監視カメラが備えられていたとしても、場所が場所だけに、彼の国側も抗議出来まいという目論見だ。

結果遮音材を施したお陰で狭くなり、換気孔を塞いであるので空気も良くないが、盗撮や盗聴の恐れが無いここは、どこよりも気を抜いて話せる場所だった。

「ふう。やっと周りを気にせず話が出来て、せいせいしましたよ」

「やはりあちらは何も言って来ません。思惑は当たりましたね、関さん。
 例えカメラが有ったにせよ、さすがに女風呂を覗かせろと迄は言えんでしょう」

「よしんば盗聴器などが無かったにしても、彼女達が動けないのではその確認さえ出来ませんから」

 今回大阪支部から呼んだ4人は女性だけのユニットだ。

元々はア・サイエンティフィック・ウェポンの研究者とエージェントだった彼女達も所謂『新派』で、ボイトレ後に素質が発現したという。

亡くなった三浦氏や関達が『新派』故の特殊技能として伊賀流忍法を修得したのに対し、彼女達はア・サイエンティフィック・ウェポンに居た経験から、盗聴器や赤外線センサー等の各種トラップを発見し、撤去するスペシャリストとしての能力を磨いて、大阪支部での地位を築いた。

しかし今回、海鮮に到着した途端にパソコン等を取り上げられてしまい、隠しカメラや盗聴器等の調査が出来なかった為、こうして遮音材を施して応急ミーティングルームを拵(コシラ)えたのだ。

「でも戦車ですよ? 戦車! いくら【列】(レツ)を張ってても吹き飛ばされてしまいますよね、ドッカーンって」

 関は身振り激しく熱弁するが、自分の大声に気付いて慌てて口を塞いだ。


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