王国ファンタジア【流浪の民】
「……」

 恐る恐る、セシエルは上空を見上げる。

「い゛っ!?」

“ズッズウゥゥ……ン!”

 地面が地鳴りを上げて、ソレは戦士たちの目の前に降り立った。

「うっ!?」
「わっ!?」

 その巨体と威圧感に、馬たちが驚いて騎手を振り落として逃げていく。

「……これが、ドラゴン」

 口々につぶやかれる言葉。

「15mだって? これのどこが15mなんだよ!」

 セシエルは横にいるベリルに、泣きそうな目で声を上げる。

「体長は、と言った。尾を入れれば20mほどだ。翼は広げれば22mは越える」

 ベリルはしれっと応えた。

 そのドラゴンは、足下にいる人々を一瞥すると、

“ガオオォォーーウ!”

 邪魔だ。と、いうように雄叫びをあげた。
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