王国ファンタジア【流浪の民】

大いなる戦い

「ここにいるのは私の意思だ。誰のものでもない」

 私の事など、どうでもよい。

「お前を倒したい。ただそれだけだ」

 その瞳に強い光が宿る。

{ぬかせ! 作り物のキサマの命令など、誰が聞くものか!}

「ベリル。尾の付け根を狙えばいいんだな?」

「!」

 セシエルがいつもの笑顔を向ける。

「そうだ」
「ヴァラオム! ワイバーンの制御よろしく」
[うむ、任せておけ]

 セシエルはワイバーンに駆け寄り、その背に飛び乗る。

 その手にはヘビークロスボウ。威力の高い機械式の弓だ。

 その分、扱いも困難になる。

「わ、とっと」

 慣れない翼竜にふらつく。
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