王国ファンタジア【流浪の民】
「……って、ええ!? 俺がですか?」

「おぬしの弓があればベリルはさらに強くなる。助けになってやれ」

 セシエルは弓の名手である。主にクロスボウという機械式の弓に長けている。

「でっでも俺、旅なんてした事……」
「ベリルがいる。心配なかろう」

 長老の命令でベリルを探し出すのだって苦労したのに、そんな俺がベリルと旅を?

 セシエルは不安を隠せない。

「私を捜し出したのだ、十分だと思うがね」

 ベリルが後ろから安心させるように言った。

「……」

 そりゃ、お前を捜すなら女に聞けだよ……

 小柄なベリルだが、その存在感は大きく特に女性は彼の姿を追ってしまう。

「とにかく命令じゃ」
「ええ~」
「人に勧めといて自分は嫌がるのか」

「解ったよ! 行けばいいんだろうっ」

 2人に見つめられて、セシエルは声を張り上げた。
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