王国ファンタジア【流浪の民】
{地虫ども……許さぬ}

 ドラゴンが大きく翼を1度はばたかせた。

「うわあっ!」
「わああっ!?」

 翼の下にいた兵士たちは死を覚悟したが、自分たちが無傷である事に驚く。

「フン、早くどっか行けよ」

 レインがぶっきらぼうに言う。彼が冷気の壁で兵士たちを守ったのだ。

「あっありがとうございます!」
「!」

 少年は礼を言われて、なんだか不思議な気持ちだった。

「レイン!」

 そんな少年に声がかけられる。振り返るとそこにいたのはベリル。

「兵士たちの武器に魔法を」
「どうして僕がそんな事……っておいっ」

 返事を待たずにベリルは飛び去った。

「……」

 あっけにとられるレイン。兵士たちは少年の周りで、魔法がかけられるのをじっと待っていた。

「解ったよ! やればいいんだろっ」
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