王国ファンタジア【流浪の民】
「飛べる……の?」

 フェニックスは数回、翼をはばたかせた。

「ドラゴン……」

 赤い巨大なドラゴンを見上げて、フェニックスはジャンプした。

 バランスを何度か崩したが、その翼はフェニックスをみごとに上空へ浮かせた。

「足を狙え!」

 ベリルが兵士たちに指示をした刹那──

「!」

 何も無い処から、すさまじいまでの鋭い風がドラゴンに向かって放たれた。

 ベリルは口の端をつり上げる。波旬だ。

「ベリルさん!」
「アウルか」

 少年はベリルに駆け寄ると、ドラゴンを見上げて戸惑いを見せる。

「あの……」
「ドラゴンの力を解放しろ」
「それが……そのやり方が解らないって」

 サハナがアウルの言葉に付け加えた。
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