王国ファンタジア【流浪の民】
 ベリルの顔を確認して、ガックリと肩を落とした。

「サレンス様……あなたって人は」

 10歳ほどの少年は、その見た目よりも大人びた溜息を吐き出す。

「サレンス。氷炎の民か」
「そうだが、君は?」

 長い銀の髪と凍青の瞳。サレンスはベリルを少しだけ見下ろして尋ねた。

「ベリルだ。討伐隊のメンバーだよ」
「剣士か」

 ベリルの腰の剣に反応する。

「ドラゴンとの戦い方は?」
「ある程度は考えている」

 それに、サレンスは感心した。やみくもにドラゴンに突っ込む無謀者ではないらしい。

 それにしても……彼が女だったらなぁ。

 サレンスは深い溜息を漏らした。

「?」

 ベリルはその表情に首をかしげる。
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